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映画・ゲーム考察

母 -TELL ME WHY、そしてLIFE IS STRANGE2

LIFE IS STRANGE 2の主人公も、TELL ME WHYの主人公も、物語開始時点では自分たちの母親を「悪い母親」だと思い込んでいて、プレイヤーもいったんはその前提でゲームを進めていくんだけど、だんだん「そうではない」ということが分かっていく。

 

TELL ME WHY のなかでは、「全部母親のせい」という考え方は確実に誤解であるという状況証拠・物的証拠が積み重なっていき、最終的にプレイヤー(=主人公)が思考の前提を見直す方向へと誘導されていく。

 

LIFE IS STRANGE 2では、主人公(特にショーン)は最後まで母親に対するわだかまりを抱えたままエンディングまでを迎えるけれども、母の実家を訪れたり、実際に会って話すことによって、少なくとも「嫌い」「憎い」「軽蔑」といった感情から、「わだかまり」程度には緊張が緩和されるのではないか

 

このような、一見すると「悪い母親」として最初は登場するTELL ME WHYとLIFE IS STRANGE 2の2人だけれども、実際には彼女らの生育環境(家庭環境)や生い立ち、現在の社会的な環境が彼女らを追い詰めていたということが判明する。

 

2つの物語が促すのは、「ただ目の前の人物を悪と決めつけて矯正しようとしたり、叩いたりするのではなく、生い立ちにまで思いを馳せて原因を考慮し、そこから根本的な解決策(社会を良くすること)を考えること」だと思う。

 

これはもともとLIFE IS STRANGE(そしてBtS)で行われたことで、非行少女クロエにだって心理的背景があるし、クロエを傷つけるデイヴィッドにも理由があり、「嫌なやつ」のネイサンやヴィクトリアにも心理的な要因がある。これらは社会的要因だったり、家庭環境だったりする

※ただ1人ジェファソンだけが同情の余地のない純粋悪として批判されるために、そういった社会的背景や生育歴などを与えられていない。

 

LIFE IS STRANGE(無印)やBtSでは、「嫌なやつや非行少年・少女の生い立ち(家庭環境)を考えてみよう」という前提のもとにキャラクター設定やストーリーが進んでいくんだけど、これをさらに推し進めて、深く、より具体的に描写することを意図したのがTELL ME WHYやLIFE IS STRANGEの母親たちだと思う

 

つまり、よりファミリーツリーを遡って元凶へ、元凶へ、と辿っていく。(ただしそこに他責思考はない)