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映画・ゲーム考察

ゲーム雑記#4 -2/6[2024]

LIS2は、LIS1やBtSで匂わされた「旅愁」を実行した物語でもあり、思春期特有の(?)「どこか遠くへ行きたい」「こんなところ飛び出したい」を叶えた物語でもある。(もちろん、ショーンにとっては不本意な旅ながら) LIS1やBtSはすでに、思春期の物語に我々プ…

ゲーム雑記#3 -1/31 [2024]

LIFE IS STRANGE 2は素晴らしい体験だった. 最高だった! 命の力強さを取り戻して漲ったような気分になる。自己と家族のつながりにかんして、記憶を反芻する深い内省的体験をもたらす。自己と家族・世代・社会とのつながりについて、つまり業について考察する…

LIFE IS STRANGE 2

LIFE IS STRANGE 2 は、ヒスパニックの血が流れる2人のアメリカ人兄弟の逃避行を描くロードムービーである。 シアトルに住むダニエルとショーンの兄弟は、「シアトル銃撃事件」がきっかけで父を失い、逃亡生活を送ることになる。 2人はメキシコにある父の故…

ゲーム雑記 #2 -1/26 [2024]

LIFE IS STRANGE 2には大麻が登場し、まるまる1つのエピソードを使って農場における労働従事者たちを描いている。「どうやら大麻とダニエルの超能力に類似点を、クリエイターたちが見出しているかららしい」と気がついたのであとでメモを書く。 ・・・ 大麻…

ゲーム雑記 #1 -1/25[2024]

1.25(木) [2024] 『ジョジョ・ラビット』を観るなら『ライフ・イズ・ストレンジ2』と『TELL ME WHY』を観て欲しい(プレイして欲しい) ⇨ 子供と物語的世界認識、観客には見える過酷な現実 1. 「YOWPY」製作の2本の短編ゲーム(無料・デモ版)をプレイした…

母 -TELL ME WHY、そしてLIFE IS STRANGE2

LIFE IS STRANGE 2の主人公も、TELL ME WHYの主人公も、物語開始時点では自分たちの母親を「悪い母親」だと思い込んでいて、プレイヤーもいったんはその前提でゲームを進めていくんだけど、だんだん「そうではない」ということが分かっていく。 TELL ME WHY …

映画『Mank/マンク』

『Mank/マンク』(2020)は、デヴィッド・フィンチャー監督によるNetflix映画。 オーソン・ウェルズ監督による不朽の名作『市民ケーン』(1941)の脚本家であるハーマン・J・マンキーヴィッツ(通称"マンク")を主人公とする伝記映画。全編モノクロで製作された…

ゲーム "The Awesome Adventures of Captain Spirit" (2018)

The Awesome Adventures of Captain Spirit (2018)は、DON'T NOD社より、LIFE IS STRANGE 2 (2018-19)の発売に先駆けて無料で発売されたポイント&クリック形式の3人称視点RPGである。 LIFE IS STRANGE 2 (以下「LIS2」)に先駆けて発表され、無料でプレイ可…

映画『スティーブ・ジョブズ』(2015)

映画『スティーブ・ジョブズ』(2015)は、脚本構成の基本術と言われる「三幕構成」に、ジョブズの人生における3つの転換点「1984年」「1988年」「1998年」を重ね合わせたものだ。 それぞれ1984年はMacintosh、1988年はNeXTcube、1998年はiMacの、製品発表会が…

TWIN MIRROR プレイ後記

真実に固執し、悪と向き合うことを精神病気質として遠ざけ、精神の平穏と社交的な幸福を最良とすることが「ベストエンディング」であるかはさておき、真実と幸福や平穏とを対置して二者択一(トレードオフ)を迫るのは無理があるとも言えるし、安易に「真実…

TWIN MIRROR 紹介メモ

TWIN MIRROR (2020)は、LIFE IS STRANGE (2015) LIFE IS STRANGE 2 (2018-19)を開発したゲーム会社DON’T NODによって開発・発売された、マルチエンディングの選択分岐型ナラティブ・ゲームである。 LIFE IS STRANGE や LIFE IS STRANGE 2、また本作と並行し…

LIFE IS STRANGE:1と2の比較[DON'T NOD開発]

LiS[無印]では主人公が時間の巻き戻し能力[rewinding]を使用可能であるのに対して、LiS2では超能力[テレキネシス]を有しているのは弟のほうで、プレイヤー(=主人公)は超能力を使うことはできない。その意味では、たしかに選択肢をポチポチしているだけのLiS…

映画『ゴッドファーザー:最終章』あらすじと、第1作目・2作目と比較した評価の低さの理由

あらすじ 映画冒頭時点で、マイケルはファミリービジネスの完全合法化を達成している。それは自身にとっても長年の悲願であり、元妻ケイの頼みでもあったが、それを達成した時にはすでに、妻からの愛情は失われ、息子からの信頼も失って、2人はマイケルを離…

ゲーム『TWIN MIRROR』のなかで描かれている男性性について

「敵を倒し、注目を集め、喝采に浸る」というのは、おそらく男性的な憧憬なのだろう。 その憧憬は、幼少期であれば「ごっこ遊び」「人形遊び」「ヒーロー作品(フィクション)の消費」など、身体的で原始的な、直接のマッチョイズムとして表象される。 けれど…

映画『PERFECT DAYS』感想の要約

主人公は「すごいもの」を見せようとしないし、映画も観客に「すごいもの」を提示しようとしていない序盤〜前半の導入部分において、公衆トイレの景観・美観と日本製便器の機能性は露骨に「すごいもの」として提示されているせいで、主人公の価値観と映画の…

ショーンとダニエルの母親について -LIFE IS STRANGE 2

https://x.com/chenshaven/status/1731445141196448067?s=20 >i like her as a character, i think she’s so interesting and well written. but i cannot ever support or get behind someone who abandons their children. i understand why she did, i g…

映画『Perfect Days』の周辺の事柄について

ミレーの絵画〈落穂拾い〉も、映画『PERFECT DAYS』も、「貧困を是として現在の立場に甘んじよ」という金持ち・支配者の思惑に嵌ってしまい、都合よく利用されそうな危うさはある。貧困の是=労働の是=言われたことを「はい!」とすすんで快く引き受けるこ…

映画『PERFECT DAYS』論評

映画『PERFECT DAYS』のなかで、数少ない心残りと言えば、あまりにも美観に配慮した公衆便所と、優れた機能を持つ日本製トイレの登場する場面とで、「日本、美しいでしょ」「日本、すごいでしょ」と言う制作者側のプライドが露出してしまうことにより、他者…

TELL ME WHY時系列解説

1964年 メリーアン・ローナン[賢い王女]、カリフォルニア※に生まれる。 厳格な母親[黄金の貴婦人]のもとで教育を受ける: ー バレエの指導を受ける ー 大学では、母の意向で工学系の学部を専攻したものと思われる 1984年 専攻を視覚芸術へと変更しようとする…

TWIN MIRROR はじめました

TWIN MIRROR/ツインミラー ※以下、男女二元論的な記述になっていることご容赦いただきたい 「仕事を頑張っているのに、女性が離れていく男性像」は、フィクションにとって恰好の題材だ。このような男性像は、フィクションによる全くの創作ではなく、現実を写…

【日本語訳】Twin Mirror #1

TWIN MIRROR #1 [アナウンサー] 午後じゅう降り続いた小雨も晴れ上がります 気温は49F ※約9℃ 夕方のウェストヴァージニアはすがすがしくなりそう 防寒をして、腰を落ち着けましょう バスウッドラジオ局から、キャリー・ハモンドがお送りしています [新聞記事…

字幕翻訳をしてみた

ゲームの英語字幕を日本語へ翻訳する作業は、概ね楽しいものだった。 時には「超訳」(跳躍!?)も交えた。 特に「超訳」の快感は、「演技/演劇の楽しさとは、こういうものなのではないか」と思わせるものだった。 演技は、表情や身振り・手振りといった身体表…

メモ[TELL ME WHY]

https://x.com/4fraid_video/status/1742827957742358788?s=46&t=f08eI0ZKof8UZTVXOuUzyw TELL ME WHYというゲームがつねに二重性を孕んでいるということ。▪︎物語〈ゴブリンの本〉の持つ虚構性|真実▪︎複数の登場人物たちが持つ表面的な顔・仮面(ペルソナ)…

メモ[Jusant]

https://www.inverse.com/gaming/jusant-interview-edouard-caplain-kevin-poupard-narrative

『シーズン/未来への手紙』の図式

Jusantは最後のピースか. DON'T NOD作品のラインナップ

Jusantには、「子供に買い与えることのできるフランス国産ゲーム」という意味合いを感じる。 DON'T NOD作品の中での位置付けは「LISやTMWといった過去作が、大人目線で青春時代や幼少期を眺めるノスタルジア」だったのに比較して「Jusantは純粋な子供目線を…

メモ[1.1 (2024)]

TELL ME WHYの主要な登場人物は移民とマイノリティで構成されていて、WASP男性がいないんじゃないかな?ゲーム内では、トム・ヴェッキがそれに近い立場で描かれてるけど。 なぜか日本語字幕では"Vecchi"を「ヴェッチ」と充てているけれど、おそらくヴェッキ…

TELL ME WHYの構造と主題

誤解のメカニズムと、記憶(本作における特殊な設定)について、それから双子の絆の強さ・エンディング分岐についてはこの図式に含まれてない。 ただ、「絆の強さ」が基本的に「歩み寄り(=利他性)」に依存しているので、タイラーの「被害者意識中心から、メ…

TELL ME WHYの構造について

TELL ME WHYが難しいストーリーだな、と思うのは… タイラーがトランスジェンダーであることによって、プレイヤーは彼をマイノリティ=弱者側であるという先入観にしたがってみてしまい、保護・正当化しようとすること 実際彼自身にも被害者意識がある けれど…

TELL ME WHYの主題について

TELL ME WHY、wikiなどを読むと「記憶の誤謬」がテーマだと書かれているんだけど、本当に『羅生門』(ないし原作『藪の中』)がモデルだとしたら、「記憶の誤謬」ではなく、「真実/真相の不在」と「2つの選択肢(記憶)のうちどちらかを排除することの不可能」…