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映画・ゲーム考察

TWIN MIRROR はじめました

TWIN MIRROR/ツインミラー

※以下、男女二元論的な記述になっていることご容赦いただきたい

 

「仕事を頑張っているのに、女性が離れていく男性像」は、フィクションにとって恰好の題材だ。このような男性像は、フィクションによる全くの創作ではなく、現実を写し取ったものでもあり、また現実の男性たちの心象を表象するものでもあるように思う。

 

映画『ゴッドファーザー』3部作の主人公、マイケル・コルレオーネは、そういった描像に当てはまる、典型的な男性像だ。

外では仕事を頑張っている といっても彼の場合はマフィアボス業 のだが、家族のことはなおざり/おざなりで、妻にも愛想を尽かされ、子供はパパのことを軽視している。

本人は「"ファミリー"のため」に頑張っているのだが、良かれと思ってしてきたことが、最後には彼を孤独な帝王に変えてしまう。

本当は家族を......娘を愛しているのに、最後には彼女までも失ってしまう。

 

努力すればするほど深まるこの孤独は、「成功さえすればモテる」という、男性の(?)、おそらく幼少期からの思い込みに起因しているのではないか、というのはあくまで私見である。

そして出世欲は競争に、競争は排他性/敵意に、排他性と敵意は、他者への共感能力を欠如させるばかりか、自己へのケア能力=セルフケア能力まで欠如させてしまうように思える。男性のセルフケア能力の欠如は、社会・経済の効率化・システム化が進展し、女性の社会進出と育児の両立が論題となる昨今において、より顕在化している。

 

家族のことを思いたいが、そのような愛情は外敵との対峙においては致命的となる。

リスク管理をすること......敵を想定し、最悪の可能性に備えることがこれまでの社会では、個人・共同体の生存のすべであるとされてきた。のではないか

 

おそらく、外敵への警戒心を持ったままで家庭に帰ってきてしまうのだ。

 

そのような警戒心は、他者へ刺さるだけではなく、自己の問題や弱さへと向き合うことも妨げる。つまり、男性のセルフケアを妨げる。

これが男性特有の問題なのか、社会要因によるものかは定かではないが、男性中心社会が歴史的に形成されてきたという主流な見方にしたがうのであれば、男性中心社会を形成する男性的なマインドが、男性のセルフケアを妨げかねない、ということになるだろうか。

 

ゲーム「ツインミラー」は、すでに傷つき、弱さを抱え/自覚した男性を主人公に、強がる自分との対話を可能にする物語にも思える。

 

 

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「妻に逃げられた男性像」は、単純に本人の行動や生活様式に難がある場合もあるだろうけれども、「仕事と家庭の二者択一を迫られる男性」のように、戯画的なまでに人口に膾炙している。

しかし未だ、孤独を深め、女性や家族との絆をつなげないでいる男性が存在する以上、この問題は真剣な検討に値するのではないか。

あるいは、そのような男性を父に持つことで、幼少期に深刻な、そして不可逆的な体験を心に抱える子供たち,そういった家庭で育ち・成長した大人たち(AC?機能不全家庭?)がいるのではないか。

 

苦しむ男性の自己理解を促進したり、幼少期にトラウマを抱えた子供たち/成長した大人たちが自身の生育環境/ 家庭環境を理解したりすることの一助になりそうなゲームが、TWIN MIRROR/ツインミラーなのではないか。

 

テーマ:男性の弱さ、男性のセルフケア

 

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成功と女性 敵

競争と繁殖

孤高と繁栄(独占欲)

 

敵意とPTSD