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映画・ゲーム考察

ショーンとダニエルの母親について -LIFE IS STRANGE 2

https://x.com/chenshaven/status/1731445141196448067?s=20

 

i like her as a character, i think she’s so interesting and well written. but i cannot ever support or get behind someone who abandons their children. i understand why she did, i get it, but that doesn’t make it right. no child should have to grow up

 

-on Karen Raynolds

 

LiS2の母親に対しては批判的な声が多い。(国・地域・文化によって有意差はあるかも知れない)

たしかに子供の側からすれば、母親が「自由になりたいから」(自分の道を追求したいから?)という理由で家を去ったのでは溜まったものじゃない。納得できる理由ではない。

ただ、「母親は子供につきっきりで面倒を見るべき」という考え方は、自分自身をも束縛する可能性がある。

だから子供を作る時は、父・母を問わず(自分が果たして責任を持って面倒を見切れるかどうか、経済的・精神的に余裕を持って愛情を注げる見込みがあるかどうか)慎重にならなければならないと思う

もちろん父母が共に育児に注力することは前提とした上で、育児と自分の突き詰めたい道が両立できる環境に身を置けるかどうか検討することも必要だ

その結果、両立は無理で、どちらか一方を選ばなければならない、あるいは育児のために好きなことは諦めて働くことを選ばなければならない、ということもあるだろう

事前に検討を重ねて子供を作っても、一般論として、実際に育児を経験してみないと分からないこともある。その結果、やはり自分の道を選びたい、どうしても育児は無理だ、という結論を下す人もいるかもしれない。

LiS2のダニエルの両親は、検討に検討を重ねた結果として子供を作り、結局母親が去ることを選んだというよりは、成り行きで子供を作ったもののやはり無理だとなったようだけれども。

育児が親にとって当然の努めであろうとも、育児の重要性に個人差もあり得、「自分が大切」ということもあり得る。「自分が大切」という人が世代的に増加しているようにも思えるので、(もちろん作る以上は責任を持って育てることが必要だが)、子供を作る前に、「自分が大切」にならないか考えるべき。

ところで、個人にとっての「育児の重要性」の要素は、単に「その人が子供を愛しているか」だけではなく、「自分がいないと子供が困るから」という利他性ないし共感性も関わってくると思う。また、育児の伴う負担は、育児の継続やモチベーションを減退させる要因となる。

育児が負担になろうとも、「子供が困るから」という、利他性・共感性を根拠にしてモチベーションに換える人が大半である一方で、ダニエルの母親は、この利他性や共感性が低かった、ないし、欠如していたか、あるいは、自己利益の追求が大きく優越してしまったので、結果として育児放棄したのだと思う

ステレオタイプなイメージでは、育児を放棄したり、家庭を捨てるのは男性のほうだ。もちろんそれはそれで最低なのだが、ドラマなどのフィクションではありふれてしまっているので、「うわー、最低」度が低い。

ところが通常は子供を捨てることのない、愛情を注ぐ役割を担う母親が家庭を捨てると、視聴者の失望感はとてつもなく大きい。

ここで、男性が家庭を捨てることは最低ではあれど頻繁であるがゆえに許容されてしまうのに対して、母親が家庭を捨てることはあまりに許し難いとする、その差に、「個人の生きづらさ」を感じ取って母親のために憤るかどうか、がLiS2という作品のコンセプトの理解度の差そのものであるような気もする。

ざっくり言ってしまえば、個人主義か、全体主義(道徳・倫理)か、ということになるだろうけれど。これは無印で「友人か(自分の気持ちか)/町全体か」という倫理的な問いが行われたのと同じだ。

ということを、LiS2を観た瞬間に感じて、ずっと覚えているし、ダニエルの母親に対する「よくある」感想/直感的な反応を目にするたびに思い出す。

https://x.com/4fraid_video/status/1726220495765504482?s=20

 

もしも自分がダニエルの母親の立場だったら、苦しみ悩んだ末に家庭を捨てている。安易な自己中心主義ではない。そして世間の批判も想定しているし、批判を身に受けてでも自分のやりたいことを追求する。だからダニエルの母親を見ても「悩み抜いて選んだ道を歩む人を批判できない」と考える。

もちろん、本当は子供を作る前に、同じ選択ができたんだよ、ということは教訓として得たい。

ゲームとは関係ないけれど、虐待もネグレクトもだめ。虐待やネグレクトをするような精神状態で子供を作ってはだめ。根本的には生活苦から来る精神的余裕のなさこそが虐待につながると思うから、豊かになってから子供を育てて欲しい。

昔は、家計を支える(働き手を得る=自分が生き延びる)意味もあって子供を作ったかも知れないけれど。それもうんとたくさん。(貧乏の子沢山?) でも今は社会は豊かになっているのでね。

https://x.com/4fraid_video/status/1726401910067089772?s=20

 

ダニエルの母親というキャラクター1つ取ってみても、これだけたくさんのことを考えるのでした。

 

たしかに子供の側からすれば、母親が「自由になりたいから」(自分の道を追求したいから?)という理由で家を去ったのでは溜まったものじゃない。納得できる理由ではない。
たしかに子供の側からすれば、母親が「自由になりたいから」(自分の道を追求したいから?)という理由で家を去ったのでは溜まったものじゃない。納得できる理由ではない。